顎関節症
症 状

顎関節症とは、顎(あご)の関節を動かすと痛みがある。口が開かない。動かせない。音が鳴る。
などの症状が起こる状態を指します。
これら1つ以上の症状があり、他の病気の影響がない場合は顎関節症と診断されます。
人口の約60%の人が顎に何らかの症状を抱えていると言われています。
男性よりも女性の方が2~5倍発症率が高いとされています。
大半は、自然と症状が治まる場合もありますが、中々症状が改善されない場合もあります。 その時は口腔外科や歯科医院でマウスピースを作ったり、嚙み合わせを調整したり、わずかではありますが手術が必要なこともあります。

以前は、噛み合わせの不良が原因とされていました。
今では、食事の際に片側だけで噛んでしまう、無意識に歯を食いしばってしまう、睡眠時の歯ぎしり、頬杖をつく癖がある、パソコン作業、家事作業、ストレスなど様々な影響が原因とされています。
これらの症状に対しては
- 鎮痛剤の服用
- スプリント療法(マウスピースの着用)
- 歯を削る
- 外科的手術
- 顎周囲の筋肉に対するマッサージやストレッチ
- 顎の筋トレ
- 顎が開くようにするトレーニング
などが行われています。
原因が様々なので、対処法も多様で一般的には難しい症状とされています。
鍼治療の現場から
意外かもしれませんが、マラソンランナーの方で顎関節症でお悩みの方が多い印象です。
長距離を走る時に、地面からの衝撃を長時間 顎の関節で受け続けているためだと推測されます。
顎の骨は頭の骨と繋がっている訳ではなく、落ちて外れないように筋肉による支持で繋ぎ留められています。
(そのため、顎は比較的自由度の高い関節になっています。)
顎は揺れや衝撃に対して、頭の骨から離れないように緊張状態を保っています。
日常生活動作でも顎は揺れますし、走ったらなおさら衝撃を受けてしまうのです。
顎の緊張は全身の筋肉の緊張を招きます。全身の緊張も顎の緊張を招きます。
身体にチカラを入れようとする時、重い荷物を持つ時など、歯を食いしばります。
そうしないとチカラが発揮できません。これらのことから、顎と全身は密接に関係してると言えます。
全身の緊張を緩めることにより、顎の緊張を解くことができるのです。
顎関節症だけではなく顎に問題を抱えているケースでは、頭痛、耳鳴り、肩コリ、腰痛、突発性難聴などと関係が深い場合もあります。
全身の緊張を解くようにツボを選んで、鍼をしていきます。
顎に直接鍼をしません。
顎が緊張するような状態を改善しなければ、
一時的に効果が出ても直ぐに元の状態に戻ってしまうからです。