エスメラルダ・ブリーサ

常在鍼灸

~日常生活の延長に鍼灸を~

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『最高の打者(バッター)と最高の投手(ピッチャー)』

昔たまたま見たテレビの企画番組で、とても印象に残った番組がありました。
しばらく前のお話です。仕事から帰ってきて、夕飯を食べながら観ていました。

前回Blogに書いた、『若いカウボーイと中年のベテランカウボーイ』の続編のような内容です。
みなさんも読んでみて、どのような感想をお持ちになるでしょうか。


プロ野球選手で最高の打者の一人が、現役生活を退きました。
引退後に現役選手時代の心残りがどうしてもあって、その心残りを実現させるべく企画された番組でした。

その心残りとは
『小さな息子に、現役中の試合でホームランを打つ姿を見せてあげられなかった…。』
ということでした。
『息子にどうしても、お父さんがホームランを打つ姿を見せたい。』と。

その対戦相手に選ばれたのは、丁度同じ頃に引退した同世代で最高の投手でした。
(番組もいつの間にか両雄の勝負!?と云う形になってました…(^^; )

お互いに現役を退いているので、コンディションを整えるための期間が1か月設けられました。
その1か月の間で、お互いがどのような準備をしていたのか。そこが今回のキモです。

打者の方は、肉体改造に励んでいました。
重いバーベルを持ち上げ、引退した身体に鞭打つかのような激しいトレーニングでした。
ここでふと、
《あれ!? 現役中に激しい肉体改造をすることにより、ケガをしたり故障が多くなったことが引退のきっかけにもなったんではなかったっけ?》と思いました。
そして、自分が高校生だった頃と同じような激しいトレーニングメニューをこなしていました。
今風に言うと『THE 昭和』な感じのトレーニングです。
ここでも、
《過去の成功体験から、絶好調だった高校時代の自分を思い出してその頃と同じようなトレーニングをしているのかな!?
と思いました。

一方で投手の方はというと…。
引退した中年の肉体と云うことを理解しているのか(耳が痛い…(^^;))
『どのようにしたら、現役を引退した身体に負担なく投げられるのか!?』を考え
『古武術の先生』に教えを求めました。

この辺りは流石ですね(^^;)
さらに、当時は最先端であったスポーツ科学(今では当たり前かもしれませんが)などを1か月の期間中に取り入れていました。
現時点での肉体に『如何に無理なく、効率よく。』を考えた結果のスポーツ科学の導入
しかも1か月という期間を考えると、限られている中での最大効率化を求めた結果の選択でした。
老練で老獪な感じと云うか…(^^; その後憧れ続けた志望大学に進学しているので賢いですよね。スタートが全然違いました。これじゃバッターは絶対に敵わないなぁと感じました。》


いよいよ1か月後の勝負の時!!  互いに練習の成果は発揮されるのか!? 結果や如何に!?
家族が見守る中、打席に立つバッター。息子さんにホームランを打つ姿を見せることが出来るのか!?

結局バッターはホームランを打つことが出来ず…。
投手が最後にお情けで甘い球を投げることで、結果ホームランを打つことが出来ました。



結果はともかくとして、注目すべきは『1か月の期間でどのような準備をしたのか?』だと思います。
この話題は今でも患者さんに説明する時の一例として、お話することがあります。

ある程度の年齢を重ねた患者さんが
『筋肉を付けなきゃ』『運動しなきゃ』など自覚されたり指導されたりと、競技選手ばりのトレーニングや高負荷の運動などを実践されていることが多々あります。
そのため、身体を壊してケガや痛みを抱えている場合があります。
『健康になるためのトレーニングで、逆に身体を壊してしまう』と云う矛盾です。

いつまでも『若くいたい』『若いつもりでいる』ことは大切なことですが
ベテランにはベテランなりのトレーニングや鍛え方があると思います。

そのためには、先ず自分の状況を冷静に見つめて自覚することから始まります。
そして経験や体験から学んだ知恵を使い、新しい情報を取り入れて
『賢く、効率的にトレーニング』をするのです。

このように
『先述のバッターとピッチャーと、どちらの方が良いと思いますか?』
と患者さんとの話題にすることがあります。

みなさんは、どのように感じたでしょうか。

『痛みが気になるからYouTubeで体操やストレッチの動画を見て試しにやってみた。』
と云う方も多いと思いますが
『結局、痛みが変わらなかった…。』ならまだしも、
『余計に痛みが出た…。』
などの経験、みなさんもありませんか?

関節の可動域に、ある程度制限のある状態で運動を始めても、身体を傷めてしまうことがあります。
ストレッチや運動をしても痛みが出るような状態の疲労や筋肉の硬さには身体に負担の少ない鍼がおすすめです。
ある程度の制限を鍼で解除してからの運動をおすすめします。





このバッターがプロ2年目の日本シリーズで見せた涙は初々しく純粋で『美しかった』と思います。
色々な事が込み上げてきて思わず零れた涙。
とても共感してしまいます。

このまま純粋に歩んで欲しかったと思いましたが…
ずっとずっと『執着』していたのが残念でなりません。(本当の所は本人にしか分かりませんが…)

先日も誰かのお話で
『許せないのは仕方がない。でも自分のために相手を許す。そして相手のために祈る。
と云う言葉が出てきて、とても感銘を受けました。

『執着』していては先に進めません。
世の中は絶えず流れているのに頑なにその場に『留まり続ける』ことになってしまいます。

このエピソードをお話させていただく時には
『ベテランなりの賢く効率的なトレーニングのススメ』
『執着してしまっては先に進めませんょ。』と2つの濃いお話があります。


年齢を重ねると、耳の痛い話かも知れませんが…(^^;
健康になるための努力が、却って自分を壊してしまうと云う矛盾。
ズル(賢く)ではなく、賢くスマートにいきましょう。
くれぐれも気を付けたいですね。





















公開:2025年12月27日 10:52
更新:2025年12月27日 10:52

この記事を書いた人
Harry

Harry

鍼灸師/アロマテラピーインストラクター 鍼灸師の仕事とは『病気と戦う』のではなく『身体と心を調律して生命力を賦活させること』にあります。 何かとタイパや効率や即効性を求めるご時世だからこそ、鍼と云うSLOWな医療で身も心も整えてみませんか。

『休養』と『休息』

父親が西部劇黄金時代の真っ只中で育ちましたので、自分も影響を受けて西部劇が好きになってしまいました。
今では有名な俳優さんたちも、西部劇から羽ばたいて行きました。
西部劇は俳優としての登竜門だったのかも知れません。
昔の映画は時代の所為か、ゆったりしていて英語の台詞も聴き取りやすいですね。


ジョン・ウェイン、グレゴリー・ペック、ゲイリー・クーパーはもちろん。
ジェイムズ・スチュアートからケビン・コスナー。
イーストウッドにフランコ・ネロなどのマカロニウエスタン。
ジュリア―ノ・ジェンマは野澤那智さんの吹替えがピッタリで格好良かったです。
イーストウッドも山田康夫さんの吹替えがドンピシャでした。
子供の頃は西部劇を通じて、西部開拓時代にとても憧れたものです。


西部劇で題名も俳優も分かりませんがとても印象に残っているシーンがあります。
それが今回のお話です。


中年のカウボーイと若いカウボーイが(設定が兄弟なのか仲間なのか身内なのか忘れましたが…)
遠く離れた自分たちの家(か村か。)が原住民の部族に襲撃されているとの知らせを受けて、急いで駆け付けようとするのですが…。

どんなに急いでも、馬で一日半の行程。
急いでも間に合わないと、中年のカウボーイは道中で野営を提案。
しかし若いカウボーイは、居ても立っても居られない様子で先を急ぐのでした。

次の日、中年のカウボーイが荒野で、休息も取らず先を急いだ若いカウボーイを見つけました。
若いカウボーイは乗っていた馬が疲労骨折をして、身動きが取れない状況でした。

2人乗りをすると自分の馬も疲労度が増すし、とにかく先を急がなければならない状況だったので
若いカウボーイはその場に残され、あとから自力で合流するようにするしかありませんでした…。



みなさんはこの話を聞いてどのように感じましたか?

若手と中年のベテランとの対比。
健康観や仕事観、そして人生観にまで及ぶような深い話だと感じました。

若いカウボーイの素直さや純粋さ。若さゆえの!?先を急ぎたいという気持ちも痛いほど理解できます。

ところが中年のカウボーイの、若いカウボーイより少しでも長く生きているベテラン感といいますか
経験を積んでいて、知恵があるというか、年の功といいますか。
だてに歳を重ねてない、ベテラン(中年)の賢さがある訳でして…。

自分の身体や仕事についても同じようなことが言えるのではないか!?と思うのです。

頑張るコトは大切なことですが、休むこともとても大切です。
実際、早く進むことよりも休息をとった方が、結果的には早く遠くに進むことができました。

心身が健やかでいるためには、ちょっとした『ひとやすみ』がとても大切だと常々思っています。

四六時中アクティブに生きるのもイイけれど
無駄や寄り道の多い生活の方が、なんだか文化的な気がします。

若者は何事も若さで乗り切ろうとせず、若いチカラを上手に緩める方法を。
ベテランはベテランの賢さを以て、いつまでも若く無いなりの(耳が痛い…(^^;)賢い身体の使い方や休息の取り方を。

できるようにして行きたいですね。


公開:2025年11月27日 09:42
更新:2025年11月27日 09:42

この記事を書いた人
Harry

Harry

鍼灸師/アロマテラピーインストラクター 鍼灸師の仕事とは『病気と戦う』のではなく『身体と心を調律して生命力を賦活させること』にあります。 何かとタイパや効率や即効性を求めるご時世だからこそ、鍼と云うSLOWな医療で身も心も整えてみませんか。

ランナー膝 腸脛靭帯炎

みなさんは太腿(ふともも)の外側が張って、痛むことはありませんか?
太腿の外側が緊張して硬くなると、膝を曲げ伸ばしする際に痛みを伴うことがあります。

膝を反復的に曲げ伸ばしすることが多い方や、マラソンランナーなどに多いため
通称『ランナー膝』とも呼ばれることがあります。

患者さんと話をする中で
痛む時やメンテナンス時に自分で
『ストレッチポールなどを患部(太腿の外側)に当てて、ゴリゴリする』との言葉を耳にしました。

そのようにされている方は案外多いと思います。
強い刺激で患部を更に痛めないようにしてほしいと思い、ブログに書きました。

毎度おなじみの台詞ですが
『原因は患部にありません。原因は他にあります!!』

痛む部分をどうにかしたい気持ちは理解できます。
『痛気持ちい』と云う感覚は
『蚊に刺された箇所を搔きむしると気持ちいい』と云う感覚に似ていると思います。
気分は良くても、現場は傷だらけです。

痛みの出ている部分は被害者なので、そこをグリグリ痛めつけたら患部が可哀想です。
まさに『泣きっ面に蜂』状態です。

周囲の筋肉を緩める目的で、ストレッチをするなども良いですが
根本的な改善には至りません。

人体が調子悪くなる時、下がってしまう骨があります。
その骨を上げてあげると、ランナー膝が改善されることがあります。

グリグリ、ゴリゴリする必要はありません。
下がっている骨を上げるだけ。

ランナー膝でお悩みの方。腸脛靭帯炎と診断された方。
ご相談ください。


公開:2025年10月07日 18:36
更新:2025年10月07日 18:38

この記事を書いた人
Harry

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鍼灸師/アロマテラピーインストラクター 鍼灸師の仕事とは『病気と戦う』のではなく『身体と心を調律して生命力を賦活させること』にあります。 何かとタイパや効率や即効性を求めるご時世だからこそ、鍼と云うSLOWな医療で身も心も整えてみませんか。

エビデンスについて



みなさんが当たり前のように使うエビデンスと言う言葉。
基本的には、「証拠」「根拠」を意味します。

近頃では一般の会話でも『エビデンスは⁉』と云う言葉が出るほど、日常に浸透しています。

医療におけるエビデンスの言葉の意味とは
特定の治療法などがどれほど効果的であるかを示すデータや研究結果』のことを指します。

何かとエビデンスを求められることが多くなった御時世ですが…
いつ頃から言われるようになったのでしょうか。みなさんは御存知ですか⁉



「EBM(Evidence-Based Medicine)」=「根拠に基づく医療」という用語や概念は
1990年カナダの研究者のデイビッド・サケットが提唱しゴードン・ガイアットが論文にして以来、世界中に広まりました。
日本で注目され始めたのは2000年頃からと言われています。

大昔から当然の如く存在しているような言葉ですが…
言われ始めたのは、極々最近の出来事なのです…(^^;


『東洋医学や鍼治療は科学的根拠がないから信じられない!!』と鍼灸は否定されることがあります。
ところがどっこい。
みなさんが絶対的な信頼を寄せている病院で行われている医療も、本当は解らないことだらけなのです。

医療の世界は謎だらけです。
なぜ病気になるのか、なぜ病気が治るのか、なぜ薬が効くのか。そのほとんどが謎のままです。

『解った前提』で医療は進められているのです。これが大事です。


例えば、昔の人は科学的根拠を持って『呼吸』をしていたのでしょうか⁉
『酸素』という物質の存在がわからなくても
『息をしなければ死んでしまう!!』と云う事実(現象)は誰でも知っています。

人体の構造や薬効などの作用機序が解らなくても
『この草を食べたら死んでしまう。』『こっちの草を食べたら、お腹の痛みが治まった!!』など
その違いが判っていれば、それはもうすでに充分『医学』です。

『東洋医学は経験的医療』『西洋医学は科学的医療』と言われることが多いですが
医療の発展とは洋の東西を問わず、経験的なモノであったと思います。
そもそも、医学とはそういうものです。

「EBM(Evidence-Based Medicine)」=「根拠に基づく医療」が提唱される前までは医師たちでさえも

『先輩にそう教えられたから』とか『みんながそうやっているから』『昔からそうしているから』
との理由で治療法を選択する、経験主義的な面が少なからずありました。
手術の術式などでも、各々の大學病院や国立や私立の医学部などで教え方にも違いがあったのだと思います。

しかし、そのようなやり方では本当にその治療法が最良の選択だったのか⁉を検証することが困難です。
そこで、EBMの考え方が提唱され急速に広まりました。
現在、医師が治療法を検討する場合、EBMのデータが不可欠となっています。
閉鎖的環境からオープンな環境へ。インターネットの普及などの影響も多いのだと思います。
世界中で共有できる環境が整ったのでしょう。

鍼灸がなぜ効くのか・・・
という問いに、今現時点で明確な答えは出ていません。
ただし、完全ではなくてもこんな時にはこのツボを使うと良い!! という経験的な法則が見つかっています。
それを繰り返して、「○○すると△△が□□となる!!」と治療の効果が少しずつ明らかになっていくのです。

治効機序がわかっていないから、本当に効くか怪しいと!! 言う方がいますが
昔から、医療とはそう云う物なのです。

なぜなら、目の前の患者さんを救うためには、メカニズムの完全解明を待っていたら何もできません。
「学」の完成を待たずして「術」として施しているのです。
『医療』とは『学』の完成を待たずして、事象を基に、常に実践されてきたものだからです。

医学的には『科学的根拠』が無いよりは、あった方が良い訳であって
『無ければ医療では無い!!』と考えるのはチト早計かも知れませんね(^^;


医学(学問)においては普遍性が重要です。
人それぞれ身体は違うので、個性を受け入れつつ共通する普遍性を見なければなりません。
医療は普遍性(真理)を重んじつつ、患者さんの個性とのバランスを取ることがとても大切だと考えます。



まとめると
『エビデンスは絶対では無く、無いよりはあった方が良い。』
『医療の世界は解明されてない事の方が多い。』
『エビデンスが無いから医療では無い‼ワケでは無い。』
『メカニズムの解明も大切だが、現在知り得ている事で最善を尽くす』

と云うことでしょうか。

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鍼治療のメカニズムは現在徐々に科学的な検証がされてきている分野です。
鍼治療を含め東洋医学が2000年以上も前から現在でも続いていると云うコトは
『一定の効果があるから』だと思います。

一定の効果があると云うコトは事実であり、先人たちの探求の賜物です。
現時点において、鍼の治療効果によるEvidenceの解明が進んでいないだけであって
効果が無ければ、とっくに消え去って歴史の中で淘汰されてしまっていた事でしょう。
鍼を含めた東洋医学は昨今話題の『SDGs(持続可能性のある医療)』であることの証明でもあります。



鍼の科学的な解明(医学)は、研究の専門家にお任せするとして…(^^;
市井の臨床鍼灸師としましては
先哲たちが探求し長年にわたり連綿と受け継がれている東洋医学や鍼治療の叡智を 更に練り上げて(医術)
日々の鍼療で起きる小さな奇跡や感動を症例として、その効果(結果)を黙々と積み上げて行くのみです。
鍼の科学的な解明が成されるその日まで…。

公開:2025年09月04日 18:05
更新:2025年09月11日 16:56

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Harry

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鍼灸師/アロマテラピーインストラクター 鍼灸師の仕事とは『病気と戦う』のではなく『身体と心を調律して生命力を賦活させること』にあります。 何かとタイパや効率や即効性を求めるご時世だからこそ、鍼と云うSLOWな医療で身も心も整えてみませんか。